「離乳食に味付けはダメ」。
そう聞いて、何も足さずに作っている方は多いと思います。でもなぜダメなのかまで説明されることは、あまりないですよね。
気になったので、管理栄養士の資格を持つ5歳・3歳のママが、国の資料を実際に読んでみました。
結論から言います。国は「味付けはダメ」とは言っていません🥄
結論:書かれているのは「開始時期は必要ない」だけ
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」に、こう書かれています。
離乳の開始時期は、調味料は必要ない。
「離乳食」ではなく「離乳」。母乳やミルクから食事に移っていく過程のことです。
つまり「離乳食を始めたばかりの時期」と読みかえてOKです。
そしてこのあとに、離乳食が進んだら薄味でおいしく調理する、と続きます。
つまり、こういうことです。
- 「ダメ」ではなく「まだ要らない」。禁止ではありません
- 離乳が進んだら、薄味なら使ってOK。ずっと無味でいなさい、とは書かれていません
「絶対に味をつけちゃいけない」と思い込んでいた方。大丈夫です。
出典:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)
「薄味」ってどのくらい?数字で見てみる
薄味と言われても、どのくらいか分かりませんよね。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」に、1日の塩分の目安が年齢別に出ています。
| 年齢 | 1日の塩分(食塩相当量) |
|---|---|
| 0〜5か月 | 0.3g |
| 6〜11か月 | 1.5g |
| 1〜2歳 | 男の子3.0g未満/女の子2.5g未満 |
| 3〜5歳 | 3.5g未満 |
| 大人 | 男性7.5g未満/女性6.5g未満 |
1〜2歳で見ると、大人の半分以下。
体が小さいぶん、同じ味の料理を同じだけ食べたら、すぐオーバーしてしまいます。
なぜ足さなくていいの?もう足りているから
ここがいちばん納得したところです。
6〜11か月の「1.5g」。この数字、どうやって決まったと思いますか。
もとになっているのは、赤ちゃんが1日に食べているものの中身です。
- 母乳から … 約0.2g
- 離乳食から … 約1.2g
- 合わせて約1.4g
この1.4gを丸めて、目安の1.5gが決まりました。
気づきましたか。味をつけていない普通の離乳食に、もともと塩分は入っているんです。
野菜にも、お肉にも、お魚にも。だからわざわざ足さなくていい。これが「開始時期は調味料は必要ない」の中身です。
ちなみに0〜5か月の0.3gは、母乳に入っている量そのものです。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」。塩分の数字は、ナトリウム量を食塩相当量に換算した概算です。
「腎臓に悪い」「味覚が育たない」は本当?
理由としてよく見かけるのが、この2つですよね。
気になったので、支援ガイドの本文を全部確認してみました。結果はこうでした。
「味覚」という言葉は、一度も出てきません
「濃い味に慣れると薄味を受けつけなくなる」。
こういう説明は、このガイドには書かれていませんでした。
「腎臓」は出てくるけれど、味付けの話ではありません
「腎臓」が登場するのは2か所だけ。しかもどちらも災害時にミルクを作るときの水の話です。
「硬水は赤ちゃんの腎臓に負担がかかるから避けましょう」という内容でした。
赤ちゃんの腎臓に気をつかう、という考え方自体は出てきます。
でも味付けの理由としては書かれていません。
※腎臓の説明が間違い、と言いたいわけではありません。
ただ国の資料に書いてあることと、そうでないことは分けておきたい。それだけです。
じゃあ、いつから使っていいの?
支援ガイドに、具体的な月齢は書かれていません。「離乳の進行に応じて」とあるだけです。
参考までに、我が家はこうでした。
| 使い始めた時期 | 使ったもの | |
|---|---|---|
| 長男 | 1歳半(幼児食から) | 離乳食期はだしのみ |
| 長女 | 1歳ごろ | 味噌・醤油・塩麹を少しずつ |
1人目は教科書どおり。2人目はもう少し早めでした。
なぜ変えたのか。理由はこのあと書きます。
味をつけずに「おいしく」する3つの方法
1. だしを使う
調味料ではなく、だし。これだけで食べ方が変わります。
長男は、離乳食期をだしだけで乗り切りました。
我が家が使っていたのは「イブシギンのしぜんだし」です。細かい粉末なので、いろいろな料理にパッとかけられるのが本当に便利でした。だしパックのように煮出す手間がありません。
原材料は鰹節と昆布だけ。食塩は入っていません。だしそのものが無塩なので、そのまま使えます。
※原材料・食塩不使用の記載は西松屋オンラインストアの商品情報(2026年9月12日確認)によります。
2. もともと味が濃い食材を選ぶ
かぼちゃ、さつまいも。この2つは強いです。
素材そのものに甘みがあるので、何も足さなくても満足してくれます。
支援ガイドにある「それぞれの食品のもつ味を生かしながら」は、まさにこれだと思います。
3. 味つけ前に、大人の料理から取り分ける
これは支援ガイドにも書かれている方法です。
家族の食事から調味する前のものを取り分けたり
我が家はスープでよくやっていました。
味をつける前に赤ちゃんの分を取り分けて、大人用は後から味つけ。それだけです。
別々に作らなくていいので、本当に楽になります。
ベビーフードは、思ったよりしっかり味がついています
2人目で、私の考えが変わりました。
長男のときは、ベビーフードをあまり使いませんでした。長女のときは、正直かなり助けてもらいました。
そこで気づいたんです。「あれ、思ったよりしっかり味がついてる」と。
調べてみたら、日本ベビーフード協議会の自主規格に、ちゃんと上限が決まっていました。
| ベビーフードの種類 | 100gあたりの塩分(上限) |
|---|---|
| 1歳未満向け | 約0.5g |
| 1歳〜1歳半向け | 約0.8g |
1食分を80gとすると、1食で約0.4g。
6〜11か月の1日の目安は1.5gでした。つまり1食で1日の4分の1くらいです。
これは上限なので、全部の商品がこの量ではありません。
それでも「ベビーフード=ほぼ無味」というイメージとは、だいぶ違いますよね。
私はこの数字を見て、むしろ安心しました。
ベビーフードは、赤ちゃんのためにたくさん研究されて作られた商品です。その商品がこのくらいの味付けをしているなら、このくらいは足していいんだ。そう思えたんです。
それ以来、長女にはあまり神経質にならず、調味料も少しずつ使っていきました。
「絶対に無味で」と自分を縛っていたのが、少し楽になりました。
出典:日本ベビーフード協議会「ベビーフード自主規格 第Ⅵ版」(2024年9月改訂)。食塩相当量はナトリウム量から換算した概算です。
味をつけないと食べない子は、どうする?
長男は、味をつけなくてもよく食べました。
一方の長女は、だんだん食べなくなりました。同じように作っていても、ここまで違います。
「食べないから味を濃くしよう」。そう思う前に、そもそもなぜ食べないのかを知っておくと、気持ちがだいぶ楽になります。
👉 離乳食・幼児食を食べない子の特徴は?管理栄養士ママの結論
幼児食になったら、どうした?
1歳半を過ぎると、外食もするようになります。
そうなると、家だけ完璧にしても意味がありません。我が家はあまり気にしないことにしました。
意識しているのは、「家では大人より少し薄め」。これだけです。
1〜2歳の目安は大人の半分以下でしたよね。「少し薄め」を続けるだけでも、ちゃんと意味があります。
離乳食づくりがつらいときは
味つけを気にする余裕があるのは、そもそも作れているときです。
厚生労働省の調査では、離乳食の困りごとの1位が「作るのが負担、大変」で33.5%。
そして4人に3人が、何かしら困っています。みんな同じです。
我が家は長男が0歳のときに、生協の宅配(おうちコープ)を始めました。この時期は本当に助けられました。
裏ごし済みの野菜キューブのような下ごしらえ済みの食材だと、「切る・つぶす」の工程がまるごとなくなります。
いまはパルシステムを使っていて、こちらにも離乳食・幼児食向けのラインがあります。
パルシステムには、離乳食向けのおためしセット(980円)もあります。くわしくはパルシステムのおためしセットはどれがいい?にまとめました。
・冷凍の裏ごし野菜を使いたい
→ パルシステム
・牛乳や納豆を毎週おトクに頼みたい
→ オイシックス
パルシステムはyumyumの「うらごし」シリーズ(にんじん・かぼちゃ・コーンなど)、オイシックスは「牛乳とか飲み放題」(月1,598円・毎週3品まで)。出典:パルシステム公式「離乳食・ベビー用品」、Oisix公式(2026年10月20日確認)。どちらも使っているわが家の感想もふまえています。
わが家は、上の子が1歳のころからオイシックスも使っています。離乳食・幼児食のコーナーもあり、まずはおためしセットで試せます。
※パルシステムの加入は無料で、出資金1,000円は退会時に返ってきます。
「食べさせちゃいけないもの」のほうは、離乳食で絶対ダメな食材は?にまとめています。
幼児食への切り替え時期が気になる方は、離乳食が完了したサインは?もあわせてどうぞ。
生協の離乳食が気になる方は、離乳食に生協は必要?もあわせてどうぞ。
「卵はいつから?卵黄1個は多すぎ?」は、離乳食の卵はいつから?で国の目安と我が家の進め方をまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q. 離乳食に味付けがダメな理由は?
A. 国の資料は「ダメ」とは書いていません。「離乳の開始時期は、調味料は必要ない」とあるだけです。食材そのものに塩分が入っていて、足さなくても足りているから、というのが理由です。
Q. 味付けはいつからOK?
A. 具体的な月齢は書かれておらず、「離乳の進行に応じて」とされています。我が家は長男が1歳半、長女が1歳ごろからでした。
Q. まったく味をつけなくても食べますか?
A. 子によります。長男はだしだけで食べましたが、長女はだんだん食べなくなりました。だしとかぼちゃ・さつまいもが助けになります。
Q. 1歳の塩分はどのくらいまで?
A. 1〜2歳は男の子3.0g未満・女の子2.5g未満(1日)。大人の半分以下です。
Q. ベビーフードは味が濃いですか?
A. 上限は100gあたり食塩相当量で約0.5g(乳児用)です。無味ではありません。手作りを無味で通しているなら、その差は知っておくといいと思います。
Q. 大人の料理から取り分けてもいい?
A. はい。支援ガイドにも書かれている方法です。味をつける前に取り分けるのがポイントです。
まとめ
- 国は「味付けはダメ」と言っていない。「開始時期は調味料は必要ない」だけ
- 食材そのものに塩分が入っている。だから足さなくていい
- 1〜2歳の目安は大人の半分以下
- 「腎臓」「味覚」は、味付けの理由としてはガイドに書かれていない
- 味をつけずにおいしくするならだしとかぼちゃ・さつまいも、そして味つけ前の取り分け
- ベビーフードは思ったよりしっかり味がついている(上限で100gあたり約0.5g)
- 幼児食になったら「家では大人より少し薄め」で十分
「絶対に味をつけちゃいけない」と気を張らなくて大丈夫です。
素材の味とだしを使いながら、少しずつ進めていきましょう🥄
出典:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、厚生労働省「平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要」、日本ベビーフード協議会「ベビーフード自主規格 第Ⅵ版」。内容は2026年9月12日時点で確認したものです。本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療・個別の栄養指導を目的としたものではありません。お子さんの状況に応じた判断は、かかりつけの小児科医・管理栄養士にご相談ください。

